【レポート】おびひろ動物園_魅力アップフォーラム【後編】

こんにちは!isakumaです。

 

「レポート」のカテゴリでは、私が参加したフォーラムや学会、イベントの模様と感想についてまとめます。

 

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去る2019年1月26日、北海道帯広市にある「おびひろ動物園」の今後を考える「おびひろ動物園の魅力アップを考えるフォーラム」が開催されました(参考URL:https://www.city.obihiro.hokkaido.jp/zoo/190126.html 20190201最終確認)。

 

前回に引き続き、この記事では魅力アップ検討委員会が提示された今後の方針と、それに対する僕の個人的な感想をご紹介したいと思います。

 

おびひろ動物園のインドゾウ、「ナナ」。来園して半世紀以上経つ彼女はおびひろ動物園のシンボル的な存在。長生きしてほしいが、ナナが亡くなったあとの動物園のことも考えなくてはならない・・・。

 

まずは、魅力アップ検討委員会から提示された、おびひろ動物園の課題とその対策方針についてご紹介します。動画でアップされているものがあり(ここ 20190205最終確認)、その書き起こしです。できるだけ正確に書き起こすよう努力していますが、僕の書き・聞き間違いなどの恐れがありますので、動画の内容を確認されたほうがより正確に情報を得られます。お時間がある方は動画をご覧ください。

 

ちなみに、「魅力アップ検討委員会」は、動物園のスタッフと「庁内の観光課やみどりの課などの関係課」で構成された委員会で、これまでに「帯広畜産大や市PTA連合会も含めて方向性を検討して」きたと発表されています(カギ括弧内は、十勝毎日新聞社「動物園のあるまちプロジェクト webページ」 より抜粋)。

 

それでは、委員会がまとめた課題と方針について確認しましょう。

 

—-おびひろ動物園魅力アップ検討委員会 経過報告 (isakuma書き起こし)—-

 

【魅力アップ検討委員会が設置された背景】

2018年4月 市長公約に「子供から高齢者まで楽しめる動物園を整備します」と記載されていた
→ 市長当選後、具体的に整備する方法を検討するために委員会が設立された。
おびひろ動物園が果たすべき役割、まちづくりにおける可能性、独自性と魅力づくりの方向性を検討することが目的。

【現状と課題】
・施設の老朽化
・動物の福祉への対応(品質向上)

【おびひろ動物園に求められる機能・役割】

1.生涯学習の推進
→ 動物園は教育委員会生涯学習部の所管なので、生涯学習に資する使命がある。これまでもスポットガイド、ふれあい体験で環境・情操教育に教育してきた。とくにモルモットにふれあい体験は小学校、高齢者施設に好評。

今後はさらに大学と連携した教育を展開したい。

2.まちなかの憩いの場としての機能 ← 動画では何故かカットされていました

3.地域特性の紹介、学習・観光への導き
→ 家畜、野生動物の展示を通して、地域住民による地域理解の促進、地元の魅力の再発見をうながし、また観光客にとっては十勝の魅力を感じる入り口となる機能を持たせたい。他の観光施設とも協力したい。

4.市民・企業の活躍の場
→ これまで動物園は多くの市民・企業に支えられてきた(寄付、協賛、ボランティア込み)。
→  動物園も街の一部なので、「まちづくり」の一環として作り上げていきたい。気軽に市民が動物園づくりに参加できるようにしたい。特に企業とは、寄付、協賛、ネーミングライツの購入などを通して連携したい。

【魅力アップの方向性について】

1.十勝おびひろの特色を活かした展示を行う:
寒冷地動物の展示: 雪や気温を活かせる。本来の生息地に近い展示も可能。
福祉の側面からも良い。

地域性のある動物の展示を行う:地域の野生動物(ヒグマなど)、地域に産業動物(ウマなど)を展示することで、動物を慈しむ心と地域について学ぶ機会を作る。

2.地域に根ざした学習機会を提供する
幼少時の環境・情操教育が重要なので子どもたちへの教育に力を入れたい。このために施設施設(大学、児童会館、博物館など)とのさらなる連携を進めたい。

3.子育て世代と高齢者等にやさしい施設整備を進める。
園路の整備→ 転倒防止。疲労軽減。
トイレ・休憩所などの整備→ 古い和式トイレが多く、子どもたちや高齢者にとって使いづらい。
バイオマスなど、再生可能エネルギーを活かした展示で環境にも優しくしたい。

4.十勝らしい食の充実をはかる
臨時の飲食店営業、販売など → キッチンカーなどの誘致
十勝らしいメニュー、動物にちなんだメニューを提供する。
食育にも寄与したい。

5.企業との連携・協同

市民が活躍する場、企業にとって民間協力のアピールの場などとして活用してもらいたい。

 

—-書き出しここまで—-

 

 

ちょっと一息。

 

 

つづいて、僕の個人的な感想をご紹介します。ちなみに僕は動物園運営の専門家でも、動物園事情に詳しいわけでもないので、ものすごい的外れで非現実的なことを考えている恐れがあります。大目に見てやってください(;´Д`)

 

率直な感想を「いいね!」と「もやっと」に分けて書くと

 

いいね!:十勝の「食」を魅力アップに取り入れたのはとても良いと思いました。「食」は一目瞭然の十勝の魅力。食育にも力を入れたいとのことで、どう展示動物と絡むのかが楽しみ。観光牧場との差別化が勘所になりそう。

 

もやっと:教育や市民協働について、具体的な「方法」を示してほしかったなと思いました。あくまで今回示すべきは「方針」のようなので、現時点で具体性を求めるのはおかしいのかもしれませんが、展示、環境整備、食について具体的な方法の提案があったことを考えると、教育や市民協働がやや見劣りしてしまう印象がありました。

 

 

「今後の方針」が「おびひろ動物園の課題」「求められる機能」の解決に結びつきそうかどうかについて考えることも大切だと思います。それぞれの見出しだけを並べると、次のとおりになります。

 

■課題

・施設の老朽化
・動物の福祉への対応(品質向上)

■求められる機能

1.生涯学習の推進
2.まちなかの憩いの場としての機能

3.地域特性の紹介、学習・観光への導き
4.市民・企業の活躍の場

□今後の方針

1.十勝おびひろの特色を活かした展示を行う
2.地域に根ざした学習機会を提供する
3.子育て世代と高齢者等にやさしい施設整備を進める
4.十勝らしい食の充実をはかる
5.企業との連携・協同

 

一見すると「課題」に対するアンサーが用意されていないように見えますが、少なくとも「動物の福祉」に関しては「今後の方針1.」で十勝の気候にあった展示動物を導入することで進めたい、と述べられていました。施設の老朽化への対応については、僕の記憶の限りでは会場では述べられていなかったと思います。さすがに先立つものが要りますから、魅力アップを成功させた後に取り組むものになるのでしょう。これは仕方ない。

 

「求められる機能」への対応はというと、2.については園路の整備など、3.については地域の気候にあった動物、地元の動物の展示がアンサーになっているのかなと感じました。1,4についても、会場で集めたアンケートに基づいて今後議論が進むはずなので、続報を楽しみにしたいと思います。

 

 

–おわりに–

 

これで「おびひろ動物園魅力アップフォーラム」についてのレポートは終わりです。レポートまとめたことで、おびひろ動物園はこれから「動物園が無くなると●●●が無くなって困る!」と市民が感じる施設になる必要があるのだな、と感じました。「課題」のうち、動物福祉のことはともかく、施設の老朽化が問題になっているということは、十分な税金が投入されていないこと表れだと僕は感じていて、これを解決するためには動物園の存在感を増し、税金を動物園に投入することが市や市長にメリットをもたらす可能性を高めることが大切だと考えています(苦境を迎えている市の施設に価値を見出し、税金を投入することでその真価を発揮させることが、役所や政治家に求められている手腕だろうに、とも思うのですが。。)

 

最後に、おびひろ動物園と魅力アップ検討委員会にお願いしたいことを述べて終わりにします(素人考えですが、、)。

 

1.全国の他の動物園を参考に魅力アップの方針を考えてほしい

→ 今回のフォーラムでは道内の他園の園長たちをゲストに招いた一方で、今回発表された魅力アップの方針が、どの程度他の園を参考にして考えられたものなのかがよく分かりませんでした。このご時世、おびひろ動物園と同様の悩みを抱えている動物園や、博物館相当施設は全国にたくさんあるはずです。そうした園・館のうち、魅力アップに成功した施設はどこか、どのような戦略をとったのかなどを調べるケーススタディをしていただきたいし、すでにされているならその結果得られた見解を示してほしいと思いました。既知の手段で魅力アップできるものなのか、おびひろ独自の方針で対策を取る必要があるのかを明確にしたほうが無難だと感じるからです。

 

2.観光に寄与する活動を行う際に学芸員さんや飼育員さんに負担ができるだけかからないようにしてほしい

→ 教育や動物展示といった、生涯学習施設としての動物園に求められている本来の機能についてはともかく、観光などのプラスαで求められる機能については、専門のスタッフを別に用意して欲しいと思います。教育や動物の飼育はプロでないと十分なクオリティを発揮できないし、それは観光等でも同じことだと思います。餅は餅屋。これを徹底しないと本末転倒になると思いますので、本当に気をつけて欲しいと思います。

 

僕は、「展示動物だけでなくヒトも、他の生きものを食べ、生まれては死んでいく生きものなのだ」と教えてくれるところが、動物園の最大の意義の一つだと思っています。魅力アップの方針にあった食育はこれととっても相性が良いと思いますので、成功するといいな・・・。おびひろ動物園がこの先も、帯広市民にとって、十勝の人々の暮らしを豊かにする、そして誰しもがワクワクできる施設で有り続けることを願っております。

 

前編から読んでくださったみなさま、ありがとうございました。

感想など、コメントでお聞かせいただけるとうれしいです。

 

 

おわり

 

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